自転車のルール改正と賠償責任:2024年改正(2026施行)で変わる「自転車の立場」

自転車の「ながらスマホ」の禁止、「青切符」、「自転車・原付の追い抜き」ルール
2024年の道路交通法改正により、自転車を取り巻く環境は大きく変化しました。
2024年11月1日(施行日)から、スマートフォンを手で持ちながら自転車に乗る行為、自転車に乗りながら通話したり、画面を注視する行為が新たに禁止され、罰則の対象となりました(道路交通法第71条第5項第5号に「自転車」を追加)。
また、2026年4月1日(施行日)からは、交通反則通告制度、いわゆる「青切符」制度が導入されます。青切符の対象は、16歳以上の者が行った反則行為に限られますが、自動車と同じように、交通違反に対して取り締まりが行われることとなりました。
同時に、自転車や原付を追い抜く際のルールも明確化されました(道路交通法第18条第3項及び第4項の追加)。
警察庁交通局からは、自動車等が自転車等の右側を通過する場合の通行方法について、「自動車等が自転車等の右側を通過するときは、できる限り間隔を空けましょう。少なくとも1メートル程度間隔を空けることが安全です。 自転車等と1メートル程度の間隔を確保できない場合には、時速20キロメートルから30キロメートル程度で運転しましょう!」とホームページで周知されています。
一方、自転車側にも、「できる限り道路の左側端に寄つて通行しなければならない」とルールが定められました。
自転車は「加害者側」でなくとも、過失に応じた「賠償責任」を負うことがあります。
自転車と歩行者の事故で、自転車が「加害者側」となり、重大な結果が生じ、多額の損害賠償責任を負うことあります。保険会社の広告等で数千万円から1億円近い賠償義務が発生した事例が紹介されているのを見たことがある方もいらっしゃると思います。
しかし、事故の賠償責任は、「加害者側」のみが負うとは限りません。仮に過失が10%、20%だったとしても、相手方の損害のうち10%や20%の賠償責任を負います。
双方が走行している場合には、0:100の事故は稀であり、たとえ被害者側だったとしても、一定程度の過失割合が生じることが多いです。
そして、自動車と自転車の事故で、自動車のバンパーが損傷する程度の事故であったとしても、自動車側が急ブレーキによるむち打ち等の怪我をすることがあります。自転車側は、次のように賠償責任を負うことになります。
- 修理費等(物損):修理費等×過失割合(%)
- 治療費:実費×過失割合(%)
- 慰謝料:赤本などの慰謝料基準×過失割合(%)
自動車同士の事故であれば、物損以外の部分は、自分の過失が10%、20%程度であれば、相手方は自賠責保険に請求をすることにより損害が補てんされるため、実際に自転車側が支払をする必要がない場合も多いです。しかし、自転車の場合には、自賠責保険制度がないので、人身の過失部分が自己負担となってしまいます。
自転車の賠償責任保険に入っておくことの大切さ
自転車は、仮に「被害者側」であったとしても、相手方の人身損害を賠償しなければならないリスクがあることを説明しました。
愛知県では、自転車に係る交通事故を防止するため、「自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」を2021年3月に制定し、2021年10月から自転車損害賠償責任保険等への加入を義務と規定しました(愛知県のホームページ参照)。
しかし、周知が進んでおらず、未加入の方が散見されます。個人賠償責任保険だけでなく、火災保険や自動車保険の特約として付帯が可能な場合があります。保険料も自動車に比べて圧倒的に安いので、必ず確認することをお勧めします。
道路交通法第71条第5項第5号
自動車、原動機付自転車又は自転車(以下この号において「自動車等」という。)を運転する場合においては、当該自動車等が停止しているときを除き、携帯電話用装置、自動車電話用装置その他の無線通話装置(その全部又は一部を手で保持しなければ送信及び受信のいずれをも行うことができないものに限る。第百十八条第一項第四号において「無線通話装置」という。)を通話(傷病者の救護又は公共の安全の維持のため当該自動車等の走行中に緊急やむを得ずに行うものを除く。同号において同じ。)のために使用し、又は当該自動車等に取り付けられ若しくは持ち込まれた画像表示用装置(道路運送車両法第四十一条第一項第十六号若しくは第十七号又は第四十四条第十一号に規定する装置であるものを除く。第百十八条第一項第四号において同じ。)に表示された画像を注視しないこと。
道路交通法第125条 この章において「反則行為」とは、前章の罪に当たる行為のうち別表第二の上欄に掲げるものであつて、車両等の運転者がしたものをいい、その種別は、政令で定める。
2 この章において「反則者」とは、反則行為をした者であつて、次の各号のいずれかに該当する者以外のものをいう。
一 当該反則行為に係る車両等(特定小型原動機付自転車等を除く。)に関し法令の規定による運転の免許を受けていない者(法令の規定により当該免許の効力が停止されている者を含み、第百七条の二の規定により国際運転免許証等で当該車両等を運転することができることとされている者を除く。)又は第八十五条第五項から第十項までの規定により当該反則行為に係る自動車を運転することができないこととされている者
四 十六歳未満の者
3 この章において「反則金」とは、反則者がこの章の規定の適用を受けようとする場合に国に納付すべき金銭をいい、その額は、別表第二に定める金額の範囲内において、反則行為の種別に応じ政令で定める。
※特定小型原動機付自転車等とは、「特定小型原動機付自転車及び軽車両」のことで、軽車両には自転車を含みます。
※わかりにくいですが、自転車に関しては免許を受けていなくとも、「反則者」から除外されていないということになります。
道路交通法第18条
3 車両(特定小型原動機付自転車等を除く。)は、当該車両と同一の方向に進行している特定小型原動機付自転車等(歩道又は自転車道を通行しているものを除く。)の右側を通過する場合(当該特定小型原動機付自転車等を追い越す場合を除く。)において、当該車両と当該特定小型原動機付自転車等との間に十分な間隔がないときは、当該特定小型原動機付自転車等との間隔に応じた安全な速度で進行しなければならない。
4 前項に規定する場合においては、当該特定小型原動機付自転車等は、できる限り道路の左側端に寄つて通行しなければならない。

